Introduction

セドリック・クラピッシュ『猫が行方不明』『スパニッシュ・アパートメント』、4年ぶりの新作!
フランス・ブルゴーニュのワイナリーを舞台に、
人生の熟度を味わう珠玉のヒューマンドラマ
『スパニッシュ・アパートメント』(01)、『ロシアン・ドールズ』(05)、『ニューヨークの巴里夫(パリジャン)』(13)からなる〝青春三部作″の完結から4年。都会を舞台に、ごくありふれた人々とその日常を活き活きと軽妙に、そしてあたたかなまなざしで映し出してきた現代フランスを代表する人気監督セドリック・クラピッシュ。本作では自身のキャリア12作目にして初めて田舎を舞台に自然撮影に挑み、四季折々の美しいブドウ畑を映し出した。
フランス・ブルゴーニュを舞台に、ワイン醸造家だった父親の死をきっかけに10年ぶりに再会する三兄妹の悲喜こもごもが描かれる。長男は離婚問題を抱え、長女は醸造家としての働き方に悩み、末っ子は義父問題にゆれている。いろんなことはあるけれど、季節と共に移ろいながら、ワインのように熟成を重ねる――そんな彼らの姿は、いつのまにかわたしやあなたが紡ぐ日々とオーバーラップすることだろう。
都会の喧騒を離れ、くすぐったいような幼い頃の思い出と家族の絆で包み込んでくれる本作は、ふと立ち止まり、自分の人生を見つめるきっかけを与えてくれるに違いない。

Story

10年ぶりに戻った故郷――
そこは甘酸っぱい記憶と渋い思い出が残る場所
フランス・ブルゴーニュにあるドメーヌ※の長男ジャン(ピオ・マルマイ)は、10年前、世界を旅するために故郷を飛び出し、家族のもとを去った。その間、家族とは音信不通だったが、父親が末期の状態であることを知り、10年ぶりに故郷ブルゴーニュへと戻ってくる。

家業を受け継ぐ妹のジュリエット(アナ・ジラルド)と、別のドメーヌの婿養子となった弟のジェレミー(フランソワ・シビル)との久々の再会もつかの間、父親は亡くなってしまう。残されたブドウ畑や自宅の相続をめぐってさまざまな課題が出てくるなか、父親が亡くなってから初めてのブドウの収穫時期を迎える。 3人は自分たちなりのワインを作り出そうと協力しあうが、一方で、それぞれが互いには打ち明けられない悩みや問題を抱えていた・・・。


※ブルゴーニュ地方のワイン生産者を表す用語。自らブドウ畑を所有し(畑の賃借も含む)、栽培・醸造・瓶詰を一貫して行うワイン生産者

How Wine Is Made

Cast

ピオ・マルマイ(ジャン)
Pio MARMAÏ (Jean)
1984年8月13日、フランス・ストラスブール出身。ストラスブールにあるオペラ座でデザイナーをしていた母親と、イタリアからの移民でデザイナーの父親を持ち、非常に芸術的な環境に生まれ育った。フランスの次世代を担う俳優として多くの作品で活躍をしている。日本においては『理想の出産』(11)、『間奏曲はパリで』(13)などで知られている。
アナ・ジラルド(ジュリエット)
Ana GIRARDOT (Juliette)
1988年8月1日、フランス・パリ出身。名優イポリット・ジラルドと女優イザベル・オテロの娘。親の影響で自身も女優の道へ進み、映画・テレビ・舞台などで活動している。2010年、カンヌ国際映画祭で公式上映された『消えたシモン・ヴェルネール』での演技が高く評価され注目される。以降、フランス映画の新星として注目を集める。『最後のマイウェイ』(12)に出演。映画界でキャリアを積む一方、演劇界にも進出。2014年、シェイクスピア原作フランス語版「ロミオとジュリエット」のジュリエットを演じる。その他、フランスのTVドラマとしては史上最高の世界的ヒットとなっている「Les Revenants」に出演。2015年には小栗康平監督の『FOUJITA』に出演した。
フランソワ・シビル(ジェレミー)
François CIVIL (Jérémie)
1989年1月29日、フランス・パリ出身。これまでテレビドラマを中心に活躍。近年では、『FRANK -フランク-』(14)のバラク役など。今後の活躍が期待されるフランスの若手俳優の一人。

Staff

セドリック・クラピッシュ(監督・脚本)
Cédric KLAPISCH(Director /Screenwriter)
1961年9月4日、フランス・ヌイイ=シュル=セーヌ出身。ニューヨーク大学で映画制作を学ぶ。1985年フランスに戻り、レオス・カラックスの作品のスタッフなどを務める。1992年、初めての長編映画『百貨店大百科』でセザール賞にノミネートされ、注目を集める。その後、『猫が行方不明』(96)ではベルリン国際映画祭の映画批評家協会賞を受賞。本作は、『スパニッシュ・アパートメント』(01)、『ロシアン・ドールズ』(05)、『ニューヨークの巴里夫(パリジャン)』(13)からなる〝青春三部作″が完結して以来4年ぶりの長編最新作となる。

『百貨店大百科』 (92) 『青春シンドローム』(94)
『猫が行方不明』(96) 『家族の気分』(96)
『パリの確率』(99) 『スパニッシュ・アパートメント』(02)
『スナッチ アウェイ』 (03/DVD) 『ロシアン・ドールズ』(05)
『PARIS』(08) 『フランス、幸せのメソッド』(11/DVD)
『ニューヨークの巴里夫(パリジャン)』 (13)

サンティアゴ・アミゴレーナ(脚本)
Santiago Amigorena(Writer)
1962年2月15日、アルゼンチン・ブエノスアイレス出身。監督デビュー作『カウントダウン 9.11.』(07)がマール・デル・プラタ国際映画祭作品賞にノミネートされた。代表作は、『青春シンドローム』(94)、『スナッチ・アウェイ』(03/DVD)、『アップサイドダウン 重力の恋人』(12/脚色)などがある。
アレクシ・カヴィルシーヌ(撮影監督)
Alexis Kavyrchine(Cinematographer)
1972年5月生まれ。国立ルイ・リュミエール高等学院卒業後、およそ50本の短編作品で撮影を担当し、プロの道へ。ドキュメンタリーの撮影監督としてのキャリアも長く、テレビ作品を含めて40本以上の作品を手掛ける。『Les petites vacances』(06/未)で長編劇映画の撮影監督デビュー。主な作品に、フランス人監督パスカル=アレックス・ヴァンサンによる美輪明宏のドキュメンタリー『美輪明宏ドキュメンタリー ~黒蜥蜴を探して~』(10)、第37回セザール賞ドキュメンタリー作品賞を受賞した『ラルザックの奇蹟』(11)、『ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古』(12)、『Vincent n'a pas d'écailles』(14/未)、黒沢清監督『ダゲレオタイプの女』(16)、ドキュメンタリー『子供が教えてくれたこと』(16)などがある。
ロイク・デュリー(音楽)
Loïc Dury(Music)
フランスの作曲家。 主に映画音楽の制作をしている。代表作は、『スパニッシュ・アパートメント』(02)、『PARIS』(08)、『フランス、幸せのメソッド』(11/DVD)、『ニューヨークの巴里夫(パリジャン)』(13)などがある。